2023-01-01から1年間の記事一覧

岐路に来た大谷翔平選手の「二刀流」 ――「二刀流」はさらなる進化を遂げるのか・「素人」がどう関われるのかーー

米国メジャーリーグ(MLB)、アメリカン・リーグのカルフォルニア・エンゼルスに所属する大谷翔平選手(28)の評価が試される時期に来たようだ。大谷選手は、入団6年目、打者では指名代打として、投手としては中5日の間隔で登板する「二刀流」で有名である。今…

「大学崩壊」はその原因が大学自体にもある。

田中圭太郎『ルポ大学崩壊』(ちくま新書,2023年)を読んだ。教学と経営に分ければ経営の側に光を当てたルポルタージュだ。経営に監督官庁の文部科学省などの官僚および政府・政治家(特に1980年代からの「大学改革」および直近では2004年国立大学法人化,2…

サラリーマン川柳はいずこへ

「また値上げ 節約生活 もう音上げ」 第一生命保険が5月25日、「サラリーマン川柳」のコンクール優秀作品10句を発表した。その1位となったのが上記の句である。今年で36回を迎えるこの川柳コンクールは、今年からサラリーマンに限定せず広く応募を募ったため…

国防より子育てを

ある日の毎日新聞のコラムで、今国会(第221国会)での野党の質問の仕方を責めていた。「国防と野党の戦術」(『風知草』)と題するそのコラムは、戦争を絶対にしないということを首相に確約させようとしていた野党の質問は、不意の敵襲の備えを知りたい国民…

スマホ嫌いと技術決定論

スマホを初めて買いに行ったとき、パスワードを入れる作業があり、キーを何度もタッチする方法がうまくいかず入力の仕方で何度も間違えた。そのとき、そばにいた若い男の店員が、私のもたもたしたしぐさに業を煮やして、「違う」「違う」といって私のスマホ…

共産党除名事件と『バトルスタディーズ』と聖書 「姦通の女」(ヨハネによる福音書第8章3~11節)

いささか旧聞に属するがとある事件のことについて書いておきたい。 1はじめに 日本共産党が党改革を訴えた本を出版した党員を除名処分にしたという事件を聞いて今週(2・9)発売の『コミック・モーニング』(2023年11号)で掲載されていた『バトルスタディーズ…

電気料金の値上げに思う:電力会社・政府・メディア

経済産業省は16日、電力会社大手7社が申請した家庭向け電気料金を6月から14%から42%値上げする申請を認可した。17日の新聞各紙は、大半が値上げの詳細と経緯について語っていたが、読者が本当に知りたいことはそれだけだったのだろうか。 政府は、6日の閣…

雑誌の将来

近所の図書館に行くと,古い(といっても3年くらい前のものだが)雑誌をただでもらえるように陳列していた。「ご自由にお取りください」と。図書館は,資料を保存してあるところで,欲しいときに見る(複写できる)ところと思っていたが,そうではないらしい。…

支援ユーモアと諷刺

心理学者の上野行良は、ユーモア刺激をその目的に併せて「攻撃」、「娯楽・滑稽」、「支援」の3つに分けている(上野、2003)。この中で、最後の「支援」的ユーモア刺激は、自らもユーモアによって支援することを狙うものである。第2次大戦時にロンドンが空…

ユーモアと諷刺

ユーモアは、笑いを起こすもとになるものの一つと思っていた。心理学者の上野行良さんによれば、おもしろい、おかしい(笑いを誘う)気持ちをユーモアとしている(上野,2003)。そのユーモアを生み出すものをユーモア刺激とよぶそうだ。上野さんは、ユーモア…

伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書 2015年)を読む

先日盲目の若者を紹介された。背は高く、がっしりとした体格だったので意外に思えた。「障害は個性だ」という言葉は知っていた。江戸期の国学者である塙保己一(1746-1821)の逸話(和学講談所で講義をしていたとき、ろうそくの火が消え弟子たちが慌てたとこ…

インタビューへの違和感

朝日新聞が「オピニオン」欄で不定期に掲載している「インタビュー」が気になる。 まるで、討論をけしかけているようだ。「インタビュー」とは話し手の言いたいことを聞き出すことと思っていたので、意外だった。そして読み進むうちに不快になった。聞き手は…

同じことを話すことはいけないことか?

人と話をしていて,「それ前に言っていた」,「前に聞いた」と言われることが多くなった。朝ご飯に何を食べたか(パンだったか,ごはんだったか,うどんだったか…)を忘れることは,再生ができないことであり,それに対して,ご飯を食べたこと(食事時にこれ…